>一日目 どうやら、今の世相ではのんびり暮らすというのは到底できないだろう。 町を歩いていると、武器を持った人たちが嫌でも目に入ってくるし……、それだけ大きな動乱なんだろうか。 平和に暮らそうと思っても、町でも戦いが起こり巻き込まれる。 あたしも戦いに参加し、一刻でも早くこの動乱を終わらせないと、数年間望み続けた生き方はできないだろう。 問題は武器がないというところだけど……この世界では銃弾が飛び交うような世界ではなさそうだし、持ってきた工具を使おうか。 かの物理学者はバールを武器にエイリアンを蹂躙したと聞く・・・。 何はともあれ、一人では後々つらいだろうから、どこかで同志を探そうか。 大通りの向かい側、あの建物は確か食堂だったはず……。 あそこなら人が集まるし、まずはあそこから探してみるとしよう。 食堂の扉の前に立つと、中から多くの人の話し声が聞こてくる。 扉を開け店内を見渡すと、やはり狭い店内に武器を持った人たちで溢れ返っている。 剣を持った人や、華奢な体に似合わない大きな斧を担ぐ女性、魔導士のような格好の人もいる。 ここは本当にファンタジーの世界のようだ……、ていうかファンタジーの世界なのだろう。 ちょうどお腹もすいてきたところだし、何か食べていこう。 席に着いて、さっそくボルシチを注文する。 こっちの世界でもボルシチが存在することには少し驚いたが、まあ深くは考えないようにしよう。 しばらくすると、熱々のボルシチが運ばれてきた。 料理の出来は……悪くはないが良くもない。 ストレルカの作るボルシチの方が遥かに旨い……。 そう思うと、元の世界の二人のことを思い出し、少し心配になる。 向こうの世界に戻り、また戦いに参加する気はあまりないが……それでもあの二人にはまた一緒になりたい。 そもそも、こちらの世界と元の世界は自由に行き来できるのだろうか? 我が儘だとは思うが、できることならこの動乱のあとは、三人でこちらの世界でのんびりやっていきたい。 ……将来のことは、今はまだ考える必要はないだろう。 そもそも、動乱が終わったあとにまだ生きているかすらわからないのだ。 先々のことは、また後でじっくり考えればよい。まずは仲間を探すことが先決だ。 改めて店内を見渡す。のんびり食事していたので、さっきと客が入れ替わっている。 その中で、どこかで見たことのある小銃が目に入る。 金髪で、自分と同じく獣耳と尻尾が生えている。耳の形からすると……どうやら猫系のようだ。 ちらちらと眺めていると、どうやらこちらの視線に気が付いたようだ。 むこうもこちらの方へ振り向き、近寄って来た。 @?@/0/こーんちわっ!隣、いいかな? 無言で頷く。 彼女は席に着くなり右手を差し出して、自己紹介を始めた。 @りん@/0/深山 鈴っての。見ての通りの戦争屋だよ。お宅は?…見た所、カタギじゃあなさそうだ。 /1/うにゃ、あたしの名前はリシチカ。ロシア出身で……。まあ、訳あってこっちの世界に……。 わけなんて無いが、寝てたら迷い込んでたなんて恥ずかしいのでこう言った。 @りん@/0/訳、ねえ……。木を数える要職から脱走してきたとか? 冗談交じりに彼女は言った。 /1/なわけないじゃんか……。 しばらく談笑し、とりあえずこの深津鈴とやらと行動を共にすることとなった。